七つの海のモンブラン

なんでも思いついたことを書きます。「おれたちは伊達や酔狂でこういう革命をやっているんだからな。」

鹿児島に一人旅をした記録

経緯

妻が結婚前にランダムに行き先選んで一人旅するのをやってて、行き先が鹿児島だった*1ので、私も一人旅で行ってええやろと思って、思い立ったときに予約していきました。

 

1日目

07:45 SKY303で羽田から鹿児島へ。

羽田行きのバスが早着して予想より時間が余ったのでパワーラウンジへ。パワーラウンジ、いままであんまり気づいてなかったけど奥の方に人をダメにするみたいなソファーがあって、朝早くて眠かったのでそこで思いっきり休憩できました(しかし目の前のゲートのJTA*2が気になって眠れはしなかった)。

スカイマークはたぶん人生2度目の利用(前回は神戸から帰ってくるときに乗った)です。キットカットもらえるのは覚えてたけど、ドリンクサービスがあった記憶がなくて、あー焦ってペットボトル買わなくてよかったかーとなった。それにしてもコーヒー/リンゴジュースが無料で、お茶は有料って不思議なメニューやなあ*3。なんでなんやろ。

機内では読書をしました*4。一度読んでいるのですが、そこにある言葉を思い出したくて、もう一周したかったのでした。すごくいい天気の明るい時間のフライトで、眼下がよく見えたので、窓から下を覗きながら、本を読みながら、自分の実践を振り返りながら、という感じでした。

地形、道路、鉄道、飛行場や港の形で、だいたい現在地がわかるくらいはっきり見えて、でもそれらの情報で実際に行ったことない場所も鳥瞰でなら分かるって、非人間的だなあとか、空を飛べるってすごいことやなあとか、改めて思ってました。ただ南九州上空を飛ぶのは初めてだったので、地形とか、緑の繁り具合とか、なんか圧倒的でいろいろびっくりしちゃった。北西側から着陸したのかな?着陸直前に海に浮かぶ島がででーんと視界に入ってきて、うおっとなった。

 

定刻通りに鹿児島空港に降りて、空港連絡バスで鹿児島中央駅へ。朝頑張れば11時前には鹿児島市内でフリーになれるんですね。一通り観光案内所のパンフレットに目を通して、指宿行きの特急券を買って、40分くらい空いたのでアミュプラザ2Fのスタバでいろいろしました。このとき血糖値の低下が気になってストロベリードーナツを食べました。(これが一個目のミス)

 

11:56 指宿のたまて箱3号で指宿へ。眺めはいいし、サービス手厚いし、短区間でもJR九州手抜かないなーという感じがしました。研修中の方含め2両に対してアテンダントさん4人乗車されてました。そして車内限定販売のチョコパンに惹かれて、食す。これが二つ目のミス。空腹度的に昼食が済んでしまい、指宿で行くつもりだったお店*5に行く気がなくなってしまいました(ドーナツもパンも美味しかった…)。

指宿のたまて箱(キハ47 8060・キハ47 9079)

気動車に乗ったの、あまりに久しぶりすぎて、思い返してみれば2017年9月以来です。キハ47に至っては2012年以来の乗車でした。指宿枕崎線はよく揺れると聞いていましたが、縦揺れが大きいタイプの路線ですね。山と海に挟まれて、ほんとに晴れ晴れする、気分の良くなる情景でした。それとは別に、線路横に生えてる植物(雑草)が亜熱帯っぽくてうわ遠くまで来たなあと思ったのもこのときでした。車内は案外、日本人シニア層だけじゃなくて、外国人観光客も多い印象で、私の歳くらいの日本人は鹿児島〜指宿の往復ではほとんど遭遇しませんでした*6

 

指宿で何をするかあまり決めていなかったのですが、水どう聖地巡礼的に「砂むし会館 砂楽」へ行きたくて、駅から歩きました。閑散とした商店街、廃墟になったユースホステルなどを見ながらのんびり歩いて20分。駅前はあまり何もなく、砂楽あたりは温泉も宿泊施設もカフェもあるみたいな不思議な分布で、人がどこに集まるのかわかりやすいなーと思って地図と風景を眺めながら歩くのも面白かった。かつてはこの辺も賑わったんだろうなーみたいなエリアとか、夜はもうちょっと人増えるかなーみたいなエリアとか、そういうとこの人のいない明るい時間の佇まいや雰囲気が好きなんですよ。

指宿駅前の商店街アーケード

廃墟

そして砂に埋められて心地よくなって、温泉入って心地よくなって、バスで駅に戻ってきました。が、次の特急は満席ということで一時間半くらい待つことに。駅前のカフェでグアバジュースを飲みながら、思い立ってこのエントリを書き始めたのですが、猫がかわいかったり、下校中の小学生がお店に遊びにきてたり、ほっこりするカフェでした*7。待つのはあまり好きじゃなくて機嫌損ねがちなのですが、こういう出会いがあるとあんまりいろいろ決めずに進める旅もありかあと思わせてくれます。

注文のとき撫でさせてくれた猫

たくさんの中高生が乗ってきた普通列車鹿児島中央駅に着いたのは17時過ぎでしたが、昼食が変な感じで過ぎてしまったので、この時間なら並ばず入れるやろと、市電に乗って目当ての回転寿司屋へ。

地魚の白身魚が美味しくて、値段を見ずにどんどん注文してしまいました。とはいえアルコール入れずに、新鮮だし、他で食べれないし、美味しいネタが出てくる地元のチェーンって感じがして、サクッといい店に入れたなあと満足*8

ヤガラとメダイ 地魚がおいしい

お腹がパンパンになったので腹ごなしにと思い、鹿児島駅まで珍しく30分ほど散歩しました。まだ日が入りきってなくて、涼しくていい気分になれたし、ウォーターフロントパークは犬の散歩に来てる方や、三線(だと思うんだけどめちゃくちゃ上手だった)の練習してる人や、タバコ吸いながらぼーっとしてるチャラめの若者とかいて、やはり気分が良くなりました。ほんとうの意味で思い思いに過ごせる公共空間って、海のない郊外に住んでいるとあんまりない気がするというか、あったとしても人口密度が高くなって気を使わざるを得ない場所になってしまってる気がする。水族館を横目にかんまちあまで歩いて、横にあるJR貨物の最南端、鹿児島貨物ターミナルを覗きました。オホーツクのコンテナがあって、線路はどこまでも繋がってるんだなあと感じました。

オホーツク

鹿児島駅から市電で高見馬場まで戻ってすぐのお宿はドーミーイン。高級という感じもしないけど、サービスが安定してて私は好きです。天然温泉だし、アイスもゼリーも夜鳴きそばもついてくるし。19時過ぎにチェックインして、まだ見てなかったブライトン戦を見て、お腹が収まったら今日二度目の温泉入って、ぽわぽわ〜っとして、明日何しようかな〜とか思って…やっぱりこうやってただ自分を楽しませるためだけに計画を立てたり調べたりすることも休むことの一側面だよなあと思った。

 

2日目

6時ごろに目が覚めてしまって、ベッドでゴロゴロして一時間過ごしたのですが、起きあがったらびっくりするくらい脚が筋肉痛でした。ダラダラと支度をして8時前に出発。

最初の目的地は城山のバス停です。途中、西郷隆盛像と照國神社に立ち寄りました。市街地歩くだけで見どころ多いなーという感じがします。中央公民館の建物、味ありすぎん?とか、照國神社には日露戦後凱旋記念燈が立っていたり。午後に行った維新ふるさと館付近の歴史案内や、いろんなゆかりある人の像や碑がありとあらゆる所に立っているのを見ると、教育委員会の方々頑張ってるんやなあとほんとに思います。ちなみに教育会館前の広場に遠足の中学生らしき列があったり(8時前に多くが揃って座ってるなんて!と思ってしまう)、照國神社では学年一クラスなんだろうなーくらいの小学校高学年と遭遇したり、平日だし修学旅行とか宿泊学習にはもってこいだよなー歴史学習できるしーと思わされました。この後も各所で小中高生のグループとたくさん遭遇することになりました。

ほんとに日露戦後に建てられたならこの燈にも歴史的価値がありそう

さて、照國神社にお参りしたのち、脇から城山へ上がって行こうと歩みを進めましたが、なめてましたごめんなさいもう地形確認せずにマップだけ見て近いやんけとか言って馬鹿にしません許してください。この道が超しんどかった。段数もあるけど、段差自体が傾斜してて筋肉痛の私には響きました。汗ダラダラになりながら展望台で写真を撮り、バスが来る12、3分ゼーゼー言いながら座ってました。綺麗だし運動になってよかった。バスで下ってみて城山の高さにびっくりしました。もうなめてかかりません*9

段自体にすごい傾斜があって、段数も多く、登り切る自信を途中でなくしながら歩いた道。

登るとすごくいい景色が!

 

城山からはバスで仙巌園に行きました。本殿まで行ったらテレ朝の取材入ってて、何故かごめんなさいって言われた上に、私にもスタッフの方が優しくいろいろ教えてくれた。やさしい世界。世界文化遺産にも登録されていて、今回行った中では一番「観光地として力入れました!」という感じがしましたが、日本人ツアー客と外国人観光客が多くて、早い時間に行ってよかったかも、とも思いましたね。とりあえずめっちゃ勉強になったのでまとめてみました。

 

<抱いた問いや学習の成果>

・いも焼酎は雷汞(らいこう)の製造工程で使うエチルアルコールを飲めるものにしたものってマジかよ(もっと古くからあるんだと思ってたし、だから芋なのかーとなったし、ライコウって名前元になった語あったんかいとなった)*10

・「明治日本の産業革命遺産」の説明の流れで、「外国船がよく来る九州とか西の方の藩は、危機感と防衛への意識が高かったので、近代化事業に早くから取り組みました」的な説明を受けて、確かに釜石・韮山以外その遺産には登録されてないけど、西の方が「危機感や防衛意識が高い」とか「そういう意識高かったから近代化事業に早くから取り組んだ」っていうのは日本史上定説なのだろうか?という気持ちになった(JR東日本曰く「いつも歴史は東から始まる」*11)。

反射炉って結局何なんだろう?(炉として何が革命的な技術だったの?てかそもそも炉って何?)*12

・御殿の中に祖霊社ってあったけど、結局それは何?*13(これが倫理担当としては一番知っておくべき事柄な気がする)

・(これは午後に維新ふるさと館に行ったときも思ったけど)藩内に蘭学者がいるっていうのはどれくらい普通だったのか?(島津重豪蘭学趣味があったみたいに言われるけど、手の届く範囲に知識が蓄積されてないことのオタクにはならないと思うし、どれくらいの距離感に蘭学者がいたのか?)

…などと思いながら、いい時間になったのでバスで市街地方面へ。

仙巌園から見た桜島も綺麗

豚カツを食べる*14

めっちゃ美味しかったし、隣に座ったカナダから来た人がさらに隣のお客さんにカタコト英語でいろいろ話しかけられてて、ちょっと困った感じだったけど、優しさも感じられて、おぉ〜となった。

ロースカツとヒレカツの定食

お腹いっぱいになったので、腹ごなしに市電で移動して維新ふるさと館へ行く。小学生だらけであまりちゃんと展示は見れなかったのだけど、正直これくらいの時間で疲れを感じていて、まあ座ってのんびりするタイミングも必要かなという気がしてたしまあいいかとなった。先生としてはせっかく教室から出たんだし自由行動させたいんだろうな〜と思いつつ、場の様子(フロアにあったすべての「押したら説明し出すやつ」のボタンを走り抜けながら押しまくってて、常に様々な説明が同時にされている空間だった)的にはもうちょっと介入してもいいかなと思ったけど、先生は次行く場所にその場で電話してたからね。まあ忙しいっすよね〜お疲れ様です…となった。

一個気に留まったのは郷中教育(ごじゅうきょういく)の下敷きが儒学であること。蘭学趣味もおるし、朱子学趣味もおったんやろうか。造士館では朱子学以外禁じられていたとかいうし*15。確かに中学レベルの歴史だとそういう説明な感じするけど、もうちょっと受容史知っててもいいかーそのうち調べてみるかーとなった。というか、結局日本史弱すぎるしな…。倫理の日本思想の範囲だと、奈良〜平安仏教と維新直前〜明治期前半あたりに弱さを感じているので…(と言いつつ一回しか講義したことないけど)。

それでまた天文館のアーケードに戻って、今度はむじゃきで白熊を食べる。量的には問題なく食べれるけど、口がベタベタになって冷たくて感覚なくなって途中から何食べてるかわかんなくなったし、対決列島的な食べ方は無理やわ〜と思った。美味しかったです。でも直後に口の感覚なくなっちゃったのに気づいて笑いながらホットコーヒーを頼みました。

しろくま(レギュラー)

また一息つけたし、時間あったら市電乗り通してみようとも思っていたので1系統で谷山へ。激混みというか、これもまた別の小学生の移動と重なって積み残し起こるくらいの感じになってたりしました。まあ市民の足って感じやなあ。ところで、市電には何度か乗りましたが、たまたまだろうけど乗車のたびに車椅子の方が乗ってこられてきて、乗務員さんがちゃんと優しく対応していたので、なんかやっぱり市民の足やなあと思った。専用軌道に入ってからの横揺れがすごくてビビったりもした。こっちは横揺れかいと思ったけど、悪いものじゃなくて、路面電車だなという感じがしました。一両で幅が広くなくて両側に着席客がいて間にびっちり2列に立席客がいて、みんな同じ方向に揺れたり、人をかき分けて乗務員に運賃を払いにきたり、3回目になるけどコミュニティみを感じたんですよね。

 

谷山でJR駅まで歩いたらまた疲れた(早い)ので、JRで鹿児島中央へ。12、3分だけど寝てた。とにかく午後は高校生が多い。そのあとは、一階の方のスタバで休憩して、満足したら再び鹿児島市電郡元に出てから天文館方面へ。

そのまま18時過ぎに天文館から空港行きのバスに乗って、20:10 SKY308で帰ってきました。ちょっとバス早いかなと思ったけど、これでちょうどよかったですね。空港がかなり混んでてお店に入れなかったのもあったけど、一息ついて夜ご飯を食べようみたいな時間的なスキマはなかったです。

 

楽しかったし、個人的には私のしたい仕方で観光したなという気分になりました。みんなで行く旅行も楽しいのだけど、自分の関心にしたがって時間を使えるっていうことが今の自分にとっては大事だし、ちゃんと色々な勉強になった感もあって、大変よかったです。

次は鹿児島ラーメン食べたいのと、指宿より西側に行ってみたいのと、島チャレンジしてみたいのと、別の九州の県にも行ってみたいなとなりました。

*1:ひとりで鹿児島旅行に行ったワケ - ぽん語大辞典

*2:多分、07:15発の小松便じゃないかなあと思います。

JAL、羽田-沖縄増便 羽田-小松・岡山は一部JTAに=23年度国内線

*3:機内販売メニュー・無料サービス|サービス|スカイマーク SKYMARK

*4:永井玲衣『水中の哲学者たち』晶文社、2021年

*5:味処 喜作 (あじどころ きさく) - 指宿/郷土料理 | 食べログ

*6:県が月毎に動向を報告していて、インバウンドは前年同月比4,960.9%増と、ものすごい伸び率ですが、まだコロナ前には全然届かないらしく、海外からの観光客が元々多かったのだなあというのを知りました。よく考えると世界遺産結構あるしね。

鹿児島県/鹿児島県観光動向調査(毎月)

*7:kimama na cafe LaLa - カフェ / 指宿市 - かごぶら!

*8:廻る寿司めっけもん ドルフィンポート店 - いづろ通/回転寿司 | 食べログ

*9:以下のブログでも、はっきりと「体力に自信のない方等はお勧め出来ない」と書いてありました…

照国神社~城山展望台まで歩いて登りました[鹿児島旅行記] - 筑紫の国から『花つくし日記』

*10:芋焼酎が薩摩の特産品になるまで - 伝兵衛蔵

*11:歌詞はこちらに。

JR東日本野球部|JR東日本野球部について・JR東日本野球部沿革|応援歌・社歌・応援曲 :JR東日本

*12:Wikipediaでなんとなくわかるところもあるけど、もうちょっと炉の歴史を理解したい感がありますね。

反射炉 - Wikipedia

*13:コトバンクを参照しても、ちょっと背景が見えきれないので、もう少し調べようと思います。

祖霊社(それいしゃ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

*14:黒かつ亭 黒べぇ (くろかつてい くろべぇ) - 朝日通/とんかつ/ネット予約可 | 食べログ

*15:鹿児島県の教育史 郷中教育の伝統、藩校・造士館で育まれた学びの礎 | 2022年8月号 | 先端教育オンライン